山ちゃんのゲロ

さっきコンビニ行った帰り道で後ろから

「山ちゃん大丈夫!」と大きな声が聞こえたので振り返ると、

サラリーマン風の男が二人いて、一人は泥酔していてもう一人はそれを介抱していた。

酔っぱらった方はベロンベロンで立てそうになくて、一人では運べそうになかったので仕方なく助けに行った。

「手伝います。」と、近づくと

人の良さそうな40過ぎくらいのおじさんが「大丈夫ですよ。彼、家すぐ近くみたいなんで」と笑顔で答えた。

「そうですか。僕もすぐそこですから」と答えおじさん抱いている反対側の酔っぱらいの肩を抱えると、手にしめっぽい感覚が、、、。

最悪。ゲロだ。

ゲロがついたからってそこで帰る訳にも行かずしばらく運んでいると酔っぱらいが急に倒れ込みまたゲロを吐き出した。

黄色いゲロだ。

「山ちゃん大丈夫?じゃあ、3、2、1立とうか?3、2、1」おじさんはまだゲロを吐き終えていない山ちゃんにそんなことを言っている。笑顔だがよっぽど帰りたいんだろう。

そんな中、山ちゃんのスーツはゲロまみれになっていた。山ちゃんがスーツ何着持ってるか気になったが、たとえ一着だろうとゴールデンウィークでクリーニングに出せるかと余計な心配をした。

もうその頃には僕もおじさんも山ちゃんを抱えようなんて気持ちにはなっていなかったと思う。

現に山ちゃんがふらっと立ち上がったときにおじさんは支えようともしなかった。

山ちゃんは立ち上がると20そこらの若い男で「もう大丈夫です。すぐそこなんで。お兄さんもありがとうございます。」とすっきりした顔で言った。

おじさんは「そこだから送ってくよ」と家の方に体を方向転換して歩き出そうとしたが、

山ちゃんは「これを始末しなくちゃいけないので」とおじさんに言った。

「そんなのいいよ。早く帰ろう。」とおじさんは言い、僕も「明日雨らしいから流れますよ」とでまかせを言ってつれて帰ろうとするが、

山ちゃんは「いあやいやいや、そんなわけにもいきませんから」と帰ろうとしないので

そこで僕も「大丈夫そうですね。じゃあ気をつけて。」と言いその場を去った。

そして、家に帰り手を入念に洗った。