私の志集売ります
新宿西口から歌舞伎町方面に少し歩くと「私の志集売ります」と書かれたボードを首にぶら下げた中年の女の人が立っていて手作りの詩集を300円で売っている。
この人は20年間も同じ場所に立っているらしい。
で、新しい刊が出れば買う事にしている。
写真を撮って載っけたいがこの人は20年間撮影を拒否しているらしいので撮らしてもらえない。
が
どうしても撮りたい
が
さすがの俺もそこまではできなかった。
なので絵を書きます。
大体こんな感じ。
この人は47歳らしいのだがとてもきれいな人だ。
しかも旦那はなんと84歳。
この女性の人生想像料込みで300円は安い。
なので最新号「その向こう側」から一つ詩を紹介したいがその前にこの夫婦の詩に対する考え方から紹介したい。
「詩は志しでなくてはならない」
では紹介します。
「虹」
朝刊の一面に虹の写真
「あぁ、載ったね。」
家族連れの声が聞こえてきそうだ
信号待ちの道路の端で
私も空を見上げた
家族三人の歓声が聞こえて
赤から青 横断した後
四人が見上げた同じ空の下で
私だけが右に折れた
昨夜眠れなかったのも 私だけだろう
一昨日 夕方には止む筈だった
なのに終日降り続いた
明けて午前四時も
窓の外を走り抜ける車が
水しぶきを上げている 眠れる筈がなか
った
路上に立ち続ける恐ろしさを考え始めた
のだから
都心の空に虹が出たのはその夕方だった
横断歩道を渡り切った時
虹ではなく青から赤へと変わる信号機を
振り返って見た
死ねる
以上、紹介終わり
日本のZINEの先駆者の話でした。