上野で出会ったおっちゃん
上野のコンビニでジャンプを立ち読みしようとして本に触れた瞬間後ろから声がした。
「兄ちゃん漫画が好きか?」
後ろを向くと満面の笑みで知らないおっちゃんがこちらを見ている。
おっちゃんはワンカップ片手に酒くさく。マスクを片耳にぶら下げていて一目で「変わった人」だと俺は気付いた。
とりあえず質問に答えないとと思って、
「はい。好きです。」と答えた。
おっちゃんはさらに満面の笑みで、
「おらも好きだ。漫画は楽しい。」などと当たり前のことを言ってきたので、
「漫画楽しいですよね」と返した。
ワンカップ臭かったので
「ここでずっと飲んでるんですか?」と言うと
「いいんだ。ここで買ったから」と笑顔で返してきたのでここで飲んで良い気がした。
笑顔は無敵。
とりあえず落ち着いてジャンプを読めそうになかったのでおっちゃんに別れを告げてその場を去った。
出てからやはりおっちゃんが気になったのでコンビニの外からおっちゃんをしばらくみていた。
するとおっちゃんが本を手にした。
エロ漫画を立ち読みし始めた。
今だと思ってまたコンビニに入った。
そして本のコーナーに近づくとおっちゃんはおれの存在に気付いたのかエロ漫画を棚に隠した。